かつおの酒盗をご存じでしょうか。酒のあてとして人気が高く、酒豪が多いことでも知られる高知では広く親しまれています。
本記事では、かつおの酒盗に焦点を当て、由来や塩辛との違い、おすすめのアレンジレシピを紹介します。ぜひ参考にしてください。
※記事監修:かつおの本場、高知県中土佐町久礼、大正町市場の藁焼きタタキ専門店「山本鮮魚店」の店主山本忠宣。
かつおの酒盗とは
かつおの酒盗(以下、酒盗)とは、かつおの内臓を用いて作られる塩辛です。かつおの名産地である高知の特産品として知られています。
酒盗とは主にかつおから作られた塩辛の事を指しますが、近年ではまぐろやタイを用いて作られる場合もあるため、どの魚を使用するか明確な決まりはありません。魚を発酵させて作られるため、独特な匂いをしています。
ほどよい塩気を含む味わいをしており、酒のあてとして高い人気を誇ります。お酒好きにはたまらない逸品ですね。
酒盗の由来
酒盗の由来は江戸時代に遡ります。当時の土佐藩第12代目藩主である山内豊資は、かつおの塩辛を好んで食べていました。
食事の際に、お酒を盗んででも飲みたくなるくらい美味しいとされたことが酒盗の名の由来です。
また、酒盗を食べるとお酒が盗まれたかのように、すぐ無くなってしまうことが由来とする説もあります。
酒盗の由来は諸説あるためどれが正解なのかは断言できませんが、お酒との相性が抜群なのは間違いないようです。
酒盗と塩辛の違い
※上の写真は塩辛
酒盗と塩辛の違いは、以下のものが挙げられます。
・熟成期間
・使用部位
それぞれ詳細に解説します。
熟成期間
酒盗の熟成期間は半年から一年とされており、塩辛の熟成期間は半年程度です。
酒盗は塩辛よりも長時間醗酵して作られるため、独特のコクがあり、深みのある味をしています。また、手間がかかる分価格も少しお高めです。
使用部位
酒盗は主に魚の内臓のみを使用しており、その他の部位は使用されていません。対して塩辛は、身や卵巣など内臓以外も使用されています。
熟成期間、使用部位以外に酒盗と塩辛の違いはありません。塩辛というくくりのなかに酒盗があると覚えておきましょう。
酒盗の作り方
酒盗を作るにあたり、メインとなる魚の内臓を入手する必要があります。鮮度が高ければ高いほど美味しさも増すため、覚えておきましょう。
購入後は丁寧に洗い流して血抜きを行い、塩をまぶして漬け込みます。最後に、お酒やみりんなどで味付けを行い、熟成させたら完成です。
熟成されるにつれて生臭さも抑えられ、旨味が増します。時間がかかりますが、興味がある方は作ってみてはいかがでしょうか。
酒盗のおすすめアレンジレシピ
酒盗のおすすめアレンジレシピには、以下が挙げられます。
・酒盗のクリームチーズ添え
・酒盗のカルボナーラ
・酒盗のじゃがバター
それぞれについて紹介します。
酒盗のクリームチーズ添え
濃厚なクリームチーズの上に酒盗を添えるるだけのお手軽レシピです。
酒盗の塩気とチーズの甘さやコクとの相性が抜群で、大人の味を楽しめます。
薬味にねぎやかいわれを加えることで和風な味わいにもなるため、味に変化を加えたい際におすすめです。
酒盗のカルボナーラ
酒盗は旨味が詰まっているため、おつまみだけでなく調味料としても活躍します。
クリーミーなカルボナーラとも相性が良く、和と洋が調和した新鮮な味わいです。
日本酒・ワイン・ビールなど、様々なお酒とともに楽しみましょう。
酒盗のじゃがバター
ほくほくのじゃがバターに酒盗を添えて食べる、満足感のある一品です。
酒盗は脂との相性が良いため、バターを加えることでより濃厚な味を楽しめます。
加熱したじゃがいもで火傷をしないよう、注意して食べましょう。
まとめ
酒盗は塩辛の一種であり、かつおやまぐろの内臓から作られる発酵食品です。ほどよい塩気と魚の旨味が詰まっており、ビール・日本酒・ワインなど様々なお酒のあてとして人気があります。また、調味料など幅広い場面でも活躍します。
辛くてそのままだと食べ辛い場合には、アレンジレシピも豊富にあるため、身近な料理と組み合わせて自分好みの味を探してみましょう。脂との相性が良いため、チャーハンやホイル焼きと組み合わせるのもおすすめです。
お酒を盗みたくなるほど美味しいとされる味、ぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。