かつおのビンタ料理

かつおは捨てるとこが少ない魚であり、頭から尻尾に至るまでさまざまな用途で活用されています。例えば、鹿児島県の郷土料理には、ビンタ料理と呼ばれるかつおの頭部を使用したものがあります。

本記事では、かつおのビンタ料理(以下、ビンタ料理)の魅力や作り方について解説します。ぜひ参考にしてください。

※記事監修:かつおの本場、高知県中土佐町久礼、大正町市場の藁焼きタタキ専門店「山本鮮魚店」の店主山本忠宣

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ビンタ料理とは

ビンタ料理とは、鹿児島県の郷土料理です。ビンタとは鹿児島の方言で「頭」を意味しており、特に枕崎市の名物料理として知られています。かつおの頭を味噌煮や塩煮などにしたものが「かつおのビンタ料理」です。

枕崎市では古くから「おもてなし料理」とされており、歓迎会などで振舞われています。市内にあるいくつかの小中学校では、新しく着任した先生をビンタ料理でもてなすことが、現在でも伝統として受け継がれているようです。

ビンタ料理が名物である枕崎市ってどんなところ?

枕崎市のかつおモニュメント

鹿児島県枕崎市の特徴は、以下です。

・かつお漁が盛んに行われている
・鰹節の生産量が全国トップクラス

それぞれ詳細に解説します。

かつお漁が盛んに行われている

枕崎市では、近海や遠洋でかつおの一本釣りが盛んに行われています。

近海で獲れたものは鮮度抜群の生かつおとして、遠洋で釣り上げたものは、船上で血抜きをした後に急速冷凍される「ぶえん鰹」として流通します。

ぶえん鰹とは、塩付けしていない新鮮な魚を指します。枕崎市で昔から伝わる食べ方であり、「ぶえん(無塩)」と呼ばれていたことが起源です。

また、市内ではかつおの藁焼きタタキ体験や、かつお工場の見学が可能です。さまざまな場所でかつおに触れる機会があります。

鰹節の生産量が全国トップクラス

枕崎市は鰹節の生産量が全国トップクラスです。約300年の歴史を誇る鰹節製造の伝統が伝わっており、現代まで伝わっています。

市内には約40か所の鰹節工場が建てられており、日々大量の鰹節が生産されています。その際に副産物として多くのかつおの頭が切り落とされますが、さまざまな場所で活用されます。ビンタ料理も活用方法の一つです。

枕崎市の鰹節は品質が高いことで知られており、全国各地で取引されています。鰹節は、鹿児島が誇る食材の一つです。

ビンタ料理の魅力

枕崎市の灯台

ビンタ料理の魅力は、味の良さや見た目のインパクトなどが挙げられます。

ビンタ料理は手間暇をかけて長時間煮込むため、骨まで柔らかくなります。旨味も良く染み込んでいるため、絶品です。

頭は捨ててしまいがちな部位ですが、煮込めば煮込むほど味が良くなりコクのある旨味と身の柔らかさを楽しめます。特に目の周辺などは美味しいとされています。

また、頭を丸ごと使用し豪快に盛り付けることで、見た目で楽しめる料理にもなります。ビンタ料理に馴染みのない方は、驚くかもしれません。

ビンタ料理を作る手順

まず初めに、かつおの頭を水洗いし汚れや滑りを洗い流します。ある程度洗い流せたら全体的に熱湯をかけ、臭いを取りましょう。

次に鍋を用意し、洗い流した頭と大量の水、醤油やみりんなどの調味料を加えて沸騰させます。適宜灰汁を取り出し、中火で15〜20分ほど煮込みましょう。時間が経ったら火を止めて、1時間ほど寝かせ、最後に再び弱火で火を通し、味噌を溶いたら完成です。

手間はかかりますが自宅で作ることも可能なため、興味がある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。

まとめ

鹿児島県枕崎市の名物として知られるビンタ料理は、手間暇をかけて作られることで旨味がしっかりと染み込んでおり絶品です。市内外問わず多くの方に親しまれており、県外から食べに訪れる方もいます。

市内では、居酒屋などさまざまな場所で提供されており、気軽に食べることができます。駅の周辺などでも食べられるため、電車で枕崎市に訪れる際には、近くのお店に立ち寄って食べるのもおすすめです。もちろん、材料を揃えれば自宅で作ることもできます。

鹿児島県枕崎市ならではのビンタ料理、ぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。