【かつおの生態】産卵場所・生息分布・成長過程・食性を解説

どこで生まれ、どこに生息しているのか。どういうものを食べているのか。

私たちの「食」になじみ深いかつおですが、その生態については意外と知らない方は多いのではないでしょうか。

本記事では、かつおの生態について深掘りしていきます。ぜひご覧ください。

※本記事で「かつお」を呼ぶ場合、スズキ目サバ科カツオ属の「本がつお」を指します。

※記事監修：かつおの本場、高知県中土佐町久礼、大正町市場の藁焼きタタキ専門店「山本鮮魚店」の店主山本忠宣。

そもそもかつおとは？

かつおとは、スズキ目サバ科サバ亜科マグロ族カツオ属に分類される魚です。温暖な海域に生息しており、日本では主に太平洋側で見られます。一般的にかつおといえば「本がつお」のことを指します。

古くから日本人に親しまれてきた魚の代表格で、現代でも生食や加工品など幅広い用途で使用されている万能な魚です。名産地として最も有名なのは、「かつおのタタキ」が郷土料理として知られ、かつお消費量が全国一位の高知県です。ほかにも、宮崎県・鹿児島県・福島県・静岡県などもかつお産業が盛んな名産地です。

見た目が良く似た「まぐろ」とは近縁関係にあります。

かつおの産卵場所は南方海域といわれ、赤道に近く海水温が高い水域とされています。日本付近では小笠原諸島や沖縄県より以南の海域になります。

ある調査結果によると、稚魚・幼魚は北赤道海流域の南部から北赤道反流域に多く出現したというデータも。産卵は一年を通して行われ、1度に生む卵の数は10万～200万ほど。これを1産卵期に何度も繰り返します。

かつおは赤道周辺を中心に、世界中の熱帯～温帯海域に分布しています。日本近海では北海道から沖縄にかけての太平洋側に生息しますが、温暖化などの影響で稀に日本海側で水揚げされることも。

春に黒潮に乗って南方から北海道近くまで北上し、秋にまた南方に戻っていきます。かつおの旬は2回あり、北上中のかつおを「初鰹」、南下中のかつおを「戻り鰹」と呼びます。冬はシーズンオフとされ、水揚げ量が大きく落ち込みます。ちなみに、日本海側で水揚げされるかつおは「迷いガツオ」と呼ばれます。

かつおは成長が早い魚です。生育場所によって異なりますが、孵化してから1か月で体長約6cmを超え、1年で15～30cm、2年で30～60cmほどまで成長します。

寿命は約10年で、日本を回遊しているかつおの多くは1～3歳。大きい個体では、体長1m・体重10kgに達するかつおもいます。なお、腹部の縞模様は1～5cmの稚魚にはなく、成長していく過程で現れてきます。

かつおは20cm以下の稚魚・幼魚の時は動物性プランクトンを主に食べます。一方、成長し大きくなるにつれて、オキアミ、カタクチイワシ、イカ類、トビウオ類、マアジ、甲殻類など、さまざまな種類を捕食します。

なかでもカタクチイワシはかつおの主食と呼んでもそん色がないほど好んで食べる傾向にあり、かつお漁のエサにも多く使用されます。また、成魚の胃からかつおの稚魚が出てくることもあり、稀に共食いも発生します。

古くから日本人の「食」にとって欠かせないかつお。その生態を知ることで、さらに親しむことができるのではないでしょうか。

これを機にかつおが好きになり、かつおの食文化が維持され、かつお産業が発展していくことを願います。